Friday, January 24, 2020

Osamu Dazai: No Longer Human (1)



人間にんげん失格しっかく

No Longer Human



太宰だざいおさむ

Osamu Dazai



・・・

堀木ほりき の あの 不思議ふしぎな 微笑びしょう に

自分じぶん は 

微笑びしょう:smile
く:to sob


判断はんだん も 抵抗ていこう も わすれて

自動車じどうしゃ に 

判断はんだん:decision
抵抗ていこう:resistance
わすれる:to forget


そうして ここ に れてられて

狂人きょうじん という こと に なり ました。

狂人きょうじん:lunatic, madman


もし

ここ から ても

自分じぶん は やはり 狂人きょうじん ……

いや、廃人はいじん という こと に なる の でしょう。

廃人はいじん:disabled person, reject


人間にんげん失格しっかく

人間にんげん:human being
失格しっかく:disqualified


もはや、自分じぶん は

完全かんぜん に、人間にんげん で なく なり ました。

完全かんぜん に:utterly





(原文)

 堀木ほりきのあの不思議ふしぎうつくしい微笑びしょう自分じぶんき、判断はんだん抵抗ていこうわすれて自動車じどうしゃり、そうしてここにれてられて、狂人きょうじんということになりました。いまに、ここからても、自分じぶんはやっぱり狂人きょうじん、いや、廃人はいじんという刻印こくいんひたいたれることでしょう。

 人間にんげん失格しっかく

 もはや、自分じぶんは、完全かんぜんに、人間にんげんくなりました。



Reading Japanese Literature in Japanese
This series is for the people/students who want to learn Japanese.


Wednesday, January 22, 2020

Soseki Natsume: Ten Nights of Dreams: The First Night (3) For Beginners



夢十夜ゆめじゅうや

Ten Nights of Dreams



第一夜だいいちや

The First Night



夏目なつめ漱石そうせき

Soseki Natsume



(3)

おんな は ぬ と ふたたび った。



自分じぶん も

腕組うでぐみ を し ながら、

おんな は ぬ の だろう

と おもった。



すると おんな が った。

んだら、はか を つくって ほしい

と った。

はか:grave


原文げんぶん



しばらくして 

おんな が

また こう った。

・しばらくして:after a little while


んだら、

 めて ください。

める:to bury
ください:please


 おおきな 真珠貝しんじゅがい で

 あな を って。

真珠貝しんじゅがい:mother-of-pearl
あな:hole
る:to dig


 そうして

 てん から ちてる ほし の かけら を

 はか の しるし に いて ください。

てん:sky
ちる:to fall
ほし:star
・かけら:broken piece, fragment
・しるし:marker
く:to put, to place


 そうして

 はか の そば で

 って いて ください。



 また い に  ます から」

う:to see
る:to come




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Monday, January 20, 2020

Soseki Natsume: Ten Nights of Dreams: The First Night (2) For Beginners

夢十夜ゆめじゅうや

Ten Nights of Dreams



夏目なつめ漱石そうせき

Soseki Natsume



(2)

おんな は

もう 

と った。



おんな は うつくしかった。

ながい かみ を して いた。

ながい:long
かみ:hair


かお の 輪郭りんかく は やわらかかった。

がお:face
輪郭りんかく:profile
やわらかい:soft


ほほ は あかかった。

くちびる の いろ も あかかった。

ぬようには え ない。

・ほほ:cheeks
くちびる:lips
あかい:red


そこで、自分じぶん は

おんな に、 たずねた。

本当ほんとう に ぬ の か と。

たずねる:to ask


しかし、

おんな は った。



と また った。



そして、

おんな の うつくしい  に

自分じぶん の 姿すがた が うつって いた。

:eyes
姿すがた:image
うつる:to reflect


原文げんぶん



に ます とも、

と い ながら、

おんな は

ぱっちりと  を けた。

・~ とも:of course, absolutely
・ぱっちりと:wide
ける:to open


おおきな うるおい の ある  で、

おおきな:large
・うるおい:moisture


ながい まつげ に つつまれた なか は、

ただ 真黒まっくろ で あった。

・まつげ:eyelashes
つつまれた:surrounded
真黒まっくろ:jet-black


その 真黒まっくろな ひとみ の おく に、

自分じぶん の 姿すがた が

あざやかに かんで いる。

・ひとみ:pupils
おく:bottom
あざやかに:vividly
かぶ:to appear


やっぱり しずかな こえ で、

でも、ぬんですもの、

仕方しかたがないわ

と った。

・やっぱり:still
ぬんですもの:ぬ の です から
仕方しかたがない:it cannot be helped




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Saturday, January 18, 2020

Soseki Natsume: Ten Nights of Dreams: The First Night (1) For Beginners

夢十夜ゆめじゅうや

Ten Nights of Dreams



夏目なつめ漱石そうせき

Soseki Natsume



夢十夜ゆめじゅうや は、

十個じっこ の ゆめ の はなし である。

ゆめ:dream
じゅう:ten
よる:night


自分じぶん」 は、

ゆめ を る。

自分じぶん:I, わたし
ゆめ を る:to dream


あい の ゆめ

せい の ゆめ

 の ゆめ

あい:love
せい:life
:death





第一夜だいいちや

ひと の ゆめ

最初さいしょ の ゆめ

ひと最初さいしょ:first


おんな と おとこ の あい の はなし

おんな:woman
おとこ:man


おんな は ぬ。



おとこ は おんな と 約束やくそく する。

百年ひゃくねんおんな を って いる と。

ぬ:to die
約束やくそく する:to promise
百年ひゃくねん:a hundred years
つ:to wait


おとこ は

おんな を って いる。






(1)

おんな が て いる。

自分じぶん は、

おんな の そば に すわって いる。

る:to lie down
・そば:beside
すわる:to sit


おんな は 自分じぶん に った。

もう ぬ と。

・もう:now
う:to say


原文げんぶん



こんな ゆめ を た。



腕組うでぐみ を して

枕元まくらもと に すわって いる と、

腕組うでぐみ を して:with my arms folded
枕元まくらもと:bedside、かお の ちかく に


仰向あおむき に た おんな が、

しずかな こえ で

もう に ます

と う。

仰向あおむき に:on her back
しずかな:quiet, (quietly)
こえ:voice


おんな は

しずかな こえで、

もう に ます

と はっきり った。

・はっきり :distinctly


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Wednesday, January 15, 2020

SOSEKI NATSUME: KOKORO (2)(Ruby, Grammatical Analysis)



こころ



先生せんせいわたくし



夏目なつめ漱石そうせき







わたくし が その 掛茶屋かけぢゃや で

先生せんせい を た とき は、

先生せんせい が ちょうど 着物きもの を いで

これから うみ へ はいろう と する ところ であった。



わたくし は その とき 反対はんたい に

れた 身体からだ を かぜ に かして

みず から がって た。



二人ふたり の あいだ には

 を さえぎる 幾多いくた の くろい あたま が

うごいて いた。



特別とくべつ の 事情じじょう の ない かぎり、

わたくし は ついに 先生せんせい を

見逃みのがした かもれなかった。



それほど 浜辺はまべ が 混雑こんざつし、

それほど わたくし の あたま が 放漫ほうまん で あった にも かかわらず、

わたくし が すぐ 先生せんせい を 見付みつした のは、

先生せんせい が 一人ひとり の 西洋人せいようじん を

れて いた から である。



***



その 西洋人せいようじん の

すぐれて しろい 皮膚ひふ の いろ が、

掛茶屋かけぢゃや へ はいる や いなや、

すぐ わたくし の 注意ちゅうい を いた。



純粋じゅんすい の 日本にほん の 浴衣ゆかた を て いた かれ は、

それ を 床几しょうぎ の うえ に すぽりと ほうした まま、

腕組うでぐみ を して うみ の ほう を いて って いた。



かれ は

我々われわれ の 穿く 猿股さるまた ひとつ の ほか

何物なにもの も はだ に けて い なかった。



わたくし には それ が 第一だいいち 不思議ふしぎ だった。



わたくし は その 二日前ふつかまえ に

由井ゆいはま まで って、

すな の うえ に しゃがみ ながら、

ながい あいだ

西洋人せいようじん の うみ へ はいる 様子ようす を

ながめて いた。



わたくし の しり を おろした ところ は

すこし 小高こだかい おか の うえ で、

その すぐ わき が ホテル の 裏口うらぐち に なって いた ので、

わたくし の じっと して いる あいだ に、

大分だいぶ おおく の おとこ が

しお を び に た が、

いずれも どう と うで と もも は して い なかった。



おんな は 殊更ことさら にく を かくし がち であった。



大抵たいてい は

あたま に 護謨製ゴムせい の 頭巾ずきん を かぶって、

海老茶えびちゃ や こん や あい の いろ を

波間なみま に かして いた。



そういう 有様ありさま を

目撃もくげきした ばかり の わたくし の  には、

猿股さるまた ひとつ で まして

みんな の まえ に って いる この 西洋人せいようじん が

いかにも めずらしく えた。



***



かれ は やがて 自分じぶん の わき を かえりみて、

そこに こごんで いる 日本人にほんじん に、

一言ひとこと 二言ふたこと なにか いった。



その 日本人にほんじん は

すな の うえ に ちた 手拭てぬぐい を

ひろげて いる ところ で あった が、

それ を げる や いな や、

すぐ あたま を つつんで、

うみ の ほう へ あるした。



その ひと が すなわち 先生せんせい であった。



***



わたくし は たんに 好奇心こうきしん の ために、

ならんで 浜辺はまべ を りてく 二人ふたり の

後姿うしろすがた を 見守みまもって いた。



すると かれら は 真直まっすぐ に なみ の なか に

あし を んだ。



そうして 遠浅とおあさ の 磯近いそちかく に わいわい さわいで いる

多人数たにんず の あいだ を とおけて、

比較的ひかくてき 広々ひろびろした ところ へ る と、

二人ふたりとも およした。



かれら の あたま が ちいさく える まで

おき の ほう へ いて った。



それから かえして

また 一直線いっちょくせん に 浜辺はまべ まで もどってた。



掛茶屋かけぢゃや へ かえる と、

井戸いど の みず も び ず に、

すぐ 身体からだ を いて 着物きもの を て、

さっさと どこ へ か ってしまった。



***



かれら の った あと

わたくし は やはり もと の 床几しょうぎ に こし を おろして

烟草タバコ を かして いた。



その とき わたくし は ぽかん と し ながら

先生せんせい の こと を かんがえた。



どうも どこか で た こと の ある かお の ように おもわれて ならなかった。



しかし どうしても いつ どこで った ひと か

おもせ ず に しまった。



***



その とき の わたくし は

屈托くったく が ない という より むしろ 無聊ぶりょう に くるしんで いた。



それで 翌日あくるひ も また

先生せんせい に った 時刻じこく を 見計みはからって、

わざわざ 掛茶屋かけぢゃや まで かけて みた。



すると 西洋人せいようじん は  ないで

先生せんせい 一人ひとり 麦藁帽むぎわらぼう を かぶって

やってた。



先生せんせい は 眼鏡めがね を とって だい の うえ に いて、

すぐ 手拭てぬぐい で あたま を つつんで、

すたすた はま を りてった。



先生せんせい が 昨日きのう の ように

さわがしい 浴客よくかく の なか を とおけて、

一人ひとり で およした とき

わたくし は きゅうに その あと が け たく なった。



わたくし は あさい みず を

あたま の うえ まで はねかして

相当そうとう の ふかさ の ところ まで て、

そこから 先生せんせい を 目標めじるし に 抜手ぬきで を った。



すると 先生せんせい は 昨日さくじつ と ちがって、

一種いっしゅ の 弧線こせん を えがいて、

みょうな 方向ほうこう から きし の ほう へ

かえはじめた。



それで わたくし の 目的もくてき は ついに たっせられ なかった。



わたくし が おか へ がって

しずく の れる  を り ながら

掛茶屋かけぢゃや に はいる と、

先生せんせい は もう ちゃんと 着物きもの を 

ちがい に そと へ った。





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Monday, January 13, 2020

SOSEKI NATSUME: KOKORO (1)(Ruby, Grammatical Analysis)

こころ



先生せんせいわたくし



夏目なつめ漱石そうせき



いち



わたくし は その ひと を

つねに 先生せんせい と んで いた。



だから ここでも

ただ 先生せんせい と く だけ で

本名ほんみょう は け ない。



これ は 世間せけん を はばかる 遠慮えんりょ という より も、

その ほう が わたくし に とって 自然しぜん だから である。



わたくし は

そのひと の 記憶きおく を す ごと に、

すぐ 「先生せんせい」 と いい たく なる。



ふで を っても

心持こころもち は おなじ こと である。



よそよそしい 頭文字かしらもじ など は

とても 使つかう  に なら ない。



***



わたくし が 先生せんせい と い に なった のは

鎌倉かまくら である。



そのとき わたくし は

まだ 若々わかわかしい 書生しょせい であった。



暑中しょちゅう 休暇きゅうか を 利用りよう して

海水浴かいすいよく に った 友達ともだち から

ぜひ い という 端書はがき を った ので、

わたくし は 多少たしょう の かね を 工面くめんして、

出掛でかける こと に した。



わたくし は

かね の 工面くめん に 三日さんち を ついやした。



ところが

わたくし が 鎌倉かまくら に いて

三日みっか と た ない うちに、

わたくし を せた 友達ともだち は、

きゅうに 国元くにもと から

かえれ という 電報でんぽう を

った。



電報でんぽう には

はは が 病気びょうき だから と ことわって あった けれども

友達ともだち は それ を しんじ なかった。



友達ともだち は

かねてから 国元くにもと に いる おやたち に

すすま ない 結婚けっこん を いられて いた。



かれ は

現代げんだい の 習慣しゅうかん から いう と

結婚けっこんする には あまり とし が 若過わかすぎた。



それに 肝心かんじん の 当人とうにん が ら なかった。



それで 夏休なつやすみ に 当然とうぜん かえる べき ところ を、

わざと けて

東京とうきょう の ちかく で あそんで いた ので ある。



かれ は 電報でんぽう を わたくし に せて

どうしよう と 相談そうだん を した。



わたくし には どうして いいか わから なかった。



けれども

実際じっさい かれ の はは が 病気びょうき である と すれば

かれ は もとより かえる べき はず であった。



それで かれ は とうとう かえる こと に なった。



せっかく た わたくし は

一人ひとり のこされた。



***



学校がっこう の 授業じゅぎょう が はじまる には

まだ 大分だいぶ 日数ひかず が ある ので

鎌倉かまくら に おっても よし、かえっても よい

という 境遇きょうぐう に いた わたくし は、

当分とうぶん もと の 宿やど に まる 覚悟かくご を した。



友達ともだち は

中国ちゅうごく の ある 資産家しさんか の 息子むすこ で

かね に 不自由ふじゆう の ない おとこ で あった けれども、

学校がっこう が 学校がっこう なのと

とし が とし なので、

生活せいかつ の 程度ていど は

わたくし と そう かわり も し なかった。



したがって

一人ひとりぼっち に なった わたくし は

べつに 恰好かっこうな 宿やど を さがす 面倒めんどう も

もた なかった のである。



***



宿やど は

鎌倉かまくら でも 辺鄙へんぴな 方角ほうがく に あった。



玉突たまつき だの アイスクリーム だの という ハイカラな もの には

ながい なわて を ひとつ さ なければ

 が とどか なかった。



くるま で っても 二十銭にじっせん は られた。



けれども 個人こじん の 別荘べっそう は

そこここに いくつでも てられて いた。



それに うみ へ は ごく ちかい ので

海水浴かいすいよく を やる には

至極しごく 便利べんりな 地位ちい を めて いた。



***



わたくし は 毎日まいにち うみ へ はいり に 出掛でかけた。



ふるい くすぶり かえった 藁葺わらぶき の あいだ を

とおけて

いそ へ りる と、

このへん に これほど の 都会とかい人種じんしゅ が

んで いる かと おもう ほど、

避暑ひしょ に た おとこ や おんな で

すな の うえ が うごいて いた。



あるとき は

うみ の なか が

銭湯せんとう の ように くろい あたま で

ごちゃごちゃ して いる こと も あった。



そのなか に

った ひと を 一人ひとり も もた ない わたくし も、

こういう にぎやかな 景色けしき の なか に つつまれて、

すな の うえ に そべって みたり、

膝頭ひざがしら を なみ に たして

そこいら を まわる のは 愉快ゆかい であった。



***



わたくし は じつ

先生せんせい を この 雑沓ざっとう の あいだ に

見付みつした のである。



そのとき 海岸かいがん には

掛茶屋かけぢゃや が 二軒にけん あった。



わたくし は ふとした 機会はずみ から

その 一軒いっけん の ほう に れて いた。



長谷辺はせへん に おおきな 別荘べっそう を

かまえて いる ひと と ちがって、

各自めいめい に 専有せんよう の 着換場きがえば を

こしらえて い ない ここいら の 避暑客ひしょきゃく には、

ぜひとも

こうした 共同きょうどう着換所きがえじょ と いった ふうな もの が

必要ひつよう なので あった。



かれら は ここで ちゃ を み、

ここで 休息きゅうそく する ほかに、

ここで 海水着かいすいぎ を 洗濯せんたくさせたり、

ここで しおはゆい 身体からだ を きよめたり、

ここ へ 帽子ぼうし や かさ を あずけたり する のである。



海水着かいすいぎ を た ない わたくし にも

持物もちもの を ぬすまれる おそれ は あった ので、

わたくし は うみ へ はいる たび に

その 茶屋ちゃや へ

一切いっさい を てる こと に して いた。







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Saturday, January 11, 2020

Ryunosuke Akutagawa: The Spider's Thread (3)(Ruby, Grammatical Analysis)



蜘蛛くもいと



芥川あくたがわ龍之介りゅうのすけ



さん



おしゃかさま は

極楽ごくらく の 蓮池はすいけ の ふち に って、

この 一部いちぶ始終しじゅう を

じっと て いらっしゃい ました が、



やがて カンダタ が

 の いけ の そこ へ

いし の ように しずんで しまい ます と、

かなしそうな 御顔おかお を なさり ながら、

また ぶらぶら 御歩おあるき に なり はじめ ました。



自分じぶん ばかり 地獄じごく から ぬけそう と する、

カンダタ の 無慈悲むじひ な こころ が、



そうして

その こころ 相当そうとうな ばつ を うけて、

もと の 地獄じごく へ ちて しまった のが、



おしゃかさま の 御目おめ から る と、

あさましく 思召おぼしめされた ので ござい ましょう。



***



しかし 極楽ごくらく の 蓮池はすいけ の はす は、

すこしも そんな こと には 頓着とんじゃく いたし ません。



その たま の ような しろい はな は、

おしゃかさま の 御足おみあし の まわり に、

ゆらゆら うてな を うごかして、

その まんなか に ある 金色きんいろ の ずい から は、

なんとも え ない い におい が、

たえまなく あたり へ あふれて おり ます。



極楽ごくらく も もう

ひる に ちかく なった ので ござい ましょう。





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