2021年2月8日月曜日

JLPT N3: Japanese Short Stories: Osamu Dazai: Run, Melos, Run



はしれメロス』を



太宰治だざいおさむ(1909-1948)の

はしれメロス』(Run, Melos, Run)をんでいきましょう。



これは、

1940ねんかれた

みじか小説しょうせつです。



太宰治だざいおさむ小説しょうせつでは、

この『はしれメロス』と、『人間にんげん失格しっかく』(No Longer Human)が

もっと有名ゆうめいです。



はしれメロス』は

小学校しょうがっこう教科書きょうかしょでも、使つかわれており

日本人にほんじんのほとんどがんでいる小説しょうせつです。



 メロスは、とてもおこった。



 かならず、あのわるおうころさなければならない

 と決心けっしんした。



このはなしは、

メロスが、わるおうころそう

おもうところから、

はじまります。





(メロス)



メロスは、

うそきらいな

正直しょうじきおとこです。



メロスには、おやが、いません。

いもうと二人ふたり生活せいかつしています。



まちからとおむら

ひつじ(sheep)をそだてて生活せいかつしています。



いもうと結婚けっこんするので

そのために、ものふくおうとして

まちました。



しかし、

まちが、とてもしずかなので

おどろきました。



一人ひとり老人ろうじん

その理由りゆう

メロスにはなします。



 「おうが、ひところします」



 「なぜ、ころすのだ?」



 「人々ひとびとわるいことをかんがえているからだ、

  とおういます。



  でも、だれも、

  そんなことをかんがえていません」



 「たくさんのひところしたのか?」



 「はい。

  はじめは、おういもうとおっとを。

  それから、自分じぶん子供こどもを。

  それから、いもうとを。

  それから、いもうと子供こどもを。

  それから、つまを」



 「おどろいた。



  おうは、くるったのか?」



 「いいえ。

  くるったのでは、ありません。



  ひとを、しんじることができないのです。



  家来けらい(vassal)も、しんじることができないのです。



  贅沢ぜいたく生活せいかつをしているひとには、

  人質ひとじち(hostage)をすように、命令めいれいします。



  命令めいれいしたがわないと、ころされます。



  今日きょうは、六人ろくにんころされました」



 それをいて、メロスは、とてもおこりました。



 「ひどいおうだ。



  ころさなければならない」



このようにして

メロスは、

おうころそうとおもいます。



メロスは、

とても単純たんじゅん人間にんげんでした。



むずかしいことは

かんがえません。



おうころそうとして、

しろきます。



そして、

つかまります。



メロスは

おうころそうとしたつみ

ころされることになります。



そのとき

メロスは、

いもうとのことをおもします。



そこで、

おう

三日みっかってくれとたのみます。



そのあいだに、

むらかえって

いもうと結婚けっこんさせたい、といます。



しかし、

おう信用しんようしません。



 「わたしは、もう

  覚悟かくごができている。

  ただ、――」

 とって

 メロスは、すこだまった。



 そして、った。

 「ころすのを

  三日みっかってください。



  たった一人ひとりいもうと

  結婚けっこんさせたいのです。



  三日みっかあいだに、

  わたしは、むら結婚式けっこんしきおこな

  ここへかえってます」



 「馬鹿ばかな!」

 とおう

 ひくこえわらった。



 「うそだ。



  げた小鳥ことりは、かえってない」



 「いいえ。

  かえってます」

 メロスはった。



 「わたし約束やくそくまもります。



  わたし三日みっかだけください。



  もしわたししんじられないなら……



  このまち

  セリヌンティウスという親友しんゆうが、います。



  かれを、人質ひとじち(hostage)として

  ここにいてこう。



  わたしげて

  三日目みっかめれるまえ

  かえってなかったら

  かれころしてください」



セリヌンティウスは

メロスの親友しんゆうです。



いまは、

まち石工せっこう(stone mason)の仕事しごと

しています。



メロスが

このようにっても

おう

メロスをしんじません。



おう

つぎのようにかんがえます。



 それをいて、おうおもった。



 (このおとこは、きっと、かえってない。



  だから、このおとこかせるのだ。



  そして、三日目みっかめに、わたしは、かなしそうにう。



  だから、ひと信用しんようしてはならないのだと。



  そして、人質ひとじちおとこころす)



 「ねがいを、いた。



  そのおとこべ。



  三日目みっかめれるまえに、かえってい。



  おくれたら、そのおとこころす。



  ちょっとおくれてい!



  おまえつみ永遠えいえんゆるしてやる」



 「なに……

  なにう!」



 「はは。

  いのち大事だいじだったら、おくれてい。

  おまえかんがえは、わかっている」



このようにして、

セリヌンティウスは

しろばれます。



そして、

メロスは、むらかえることになります。



おうはメロスをしんじていない……

セリヌンティウスはメロスをしんじている……



約束やくそくまもって、かえってくれば、

メロスはころされる……

しかし、メロスがかえってなければ

セリヌンティウスが、ころされる……



このようにしてはなしはじまります。





結婚式けっこんしき



メロスが

まちからむらかえったのは

つぎあさでした。



そして、

そのつぎに、

メロスのいもうと結婚式けっこんしきおこなわれます。



メロスは、

まちきたことをだれにも

いません。



みんなは、

陽気ようきさわぎます。



メロスも

すこしだけ、たのしい気分きぶんになります。



 結婚式けっこんしき

 つぎひるおこなわれた。



 二人ふたり神々かみがみへの言葉ことば

 えたとき

 くろくもが、そらおおはじめた。



 あめはじめた。



 やがて、あめはげしくなった。



 むらひとたちは

 なにわるいことがきるようながした。



 それでも、陽気ようきうたうたった。



 メロスも、しばらくは

 おうとの約束やくそくわすれていた。



 よるになって、

 結婚式けっこんしきにぎやかになった。



 人々ひとびとは、そとあめわすれた。



 メロスは、このまま、ここに、いたい、とおもった。



 しかし、いまは、このからだ

 自分じぶんからだではない。



 メロスは、出発しゅっぱつする決心けっしんをした。



そのつぎ

三日目みっかめに、

メロスは、むらから出発しゅっぱつします。



それは、約束やくそくです。



そののうちに、

まちかえらなければなりません。



もし、かえれなければ、

親友しんゆうころされます。



まだ、時間じかん

十分じゅうぶんにある

と、おもっていました。



しかし、

メロスのまえに、

いくつかの困難こんなんきます。



そのひとつが

かわです。



まえあめ

はしこわれていたのです。



ふねもありません。



みずは、はげしくながれています。



かわわたることができないのです。



メロスはかみいのります。



 メロスはいて、ゼウス(Zeus)にいのった。



 「ああ、たすけてください!



  ときぎてきます。



  すでひるです。



  れるまでに、しろかなければ

  親友しんゆう

  わたしのためにぬのです」



 しかし、かわみずはげしくながれている。



 そして、ときえてく。



 メロスは覚悟かくごした。



 およ以外いがいにない。



 (ああ、かみよ。ていてください。



  はげしいかわながれにけない

  あい友情ゆうじょうちからを)



 メロスは、っているすべてのちから

 およはじめた。



 かみ

 その姿すがたあわれにおもったのか。



 メロスは、

 反対はんたいきしを、

 つかむことが出来できたのである。



なんとか、かわわたったメロスは、

今度こんどは、やまで、

山賊さんぞく(bandit)にいます。



山賊さんぞく

おう命令めいれいで、

メロスをっていたのです。



そして

メロスをころそうとします。



しかし、

メロスは、

山賊さんぞくたおします。



かわおよいでわたり、

山賊さんぞくたおしたメロスは

はしつづけます。



ところが、

メロスはつかれて

はしれなくなります。



ついに

たおれてしまいます。



つかれていたのは、

かれからだだけではありません。



かれこころ

わりはじめます。



 メロスは、くさうえた。



 からだつかれると

 精神せいしんつかれる。



 (もう、どうなっても、かまわない!)



 勇気ゆうきあるものに、似合にあわない気持きもちになった。



***



 (おうわたし

  『すこおくれてい』

  とった。



  おくれたら、人質ひとじちころして

  わたしたすける、

  と約束やくそくした。



  わたしおういかりをかんじた。



  けれども、いまわたし

  おううままだ。



  わたしおくれてくだろう。



  おうわたしわら

  そして、わたしゆるすだろう。



  それは、つらい。



  セリヌンティウス、

  わたしぬ。



  きみ一緒いっしょぬ。



  きみだけは

  わたししんじてくれる。



  いや、むしろ

  わる人間にんげんとしてきよう。



  むらには

  わたしいえがある。



  ひつじもいる。



  いもうと夫婦ふうふ

  きっと、一緒いっしょんでくれるだろう。



  正直しょうじきとか、あいとかは、

  らない。



  ひところして、自分じぶんきる。



  それが人間にんげんかただ。



  わたしうそをついた!)



 メロスは、手足てあしをのばして、ねむった。



しかし、

メロスは

ふたたまします。



そして

がり、

はしはじめるのです。



 メロスはおもった。



 (れるまでには

  まだ時間じかんがある。



  わたしを、っているひとがいる。

  わたしは、しんじられている。



  わたしいのちなど、問題もんだいではない。



  わたしは、約束やくそくまもらなければならない。



  いまは、それだけだ。

  はしれ! メロス





はしれ、メロス!)



メロスははしります。



しかし、しずんでいきます。



もう、セリヌンティウスはころされた……

という、人々ひとびと会話かいわさえ

こえてます。



そこへ、

セリヌンティウスと一緒いっしょはたらいている

フィロストラトスがます。



かれは、

メロスがはしるのをめようとします。



わなかったのだ

います。



もう、駄目だめ

います。



しかし、メロスは

まりません。



メロスは

はしります。



 わかおとこさけんだ。



 そのわかおとこ

 メロスのあとはしった。



 「もう、駄目だめです。



  無駄むだです。



  はしるのはめてください。



  もう、たすけることは出来できません」



 「いや、まだしずんでいない」



 「いまころされるところです。



  ああ、あなたはおそかった。



  もうすこし、はやかったなら!」



 「いや、まだしずんでいない」



 メロスは、

 あかおおきな太陽たいようだけを

 ていた。



 はし以外いがいにない。



 「めてください。

  はしるのは、めてください。



  いまは、あなたのいのち大事だいじです。



  あのひとは、あなたをしんじていました。



  おうなにっても

  『メロスはます』

  とこたえました。



  あのひとは、あなたをつよしんじていました」



 「だから、はしるのだ。



  しんじられている。

  だから、はしるのだ。



  うか

  わないかは

  問題もんだいではない。



  ひといのち

  問題もんだいではない。



  わたし

  もっとおおきなもの・・ため・・はしっている。



  さあ、こう!

  フィロストラトス!」



メロスははしりました。



そして

メロスは、ついに、きます。



 メロスははしった。



 まだ、しずまない。



 最後さいごちから使つかって

 メロスははしった。



 メロスは、なにかんがえていなかった。



 ただ、なにおおきなちからが、

 メロスをはしらせていた。



 しずんだ、そのときだ。

 最後さいごひかりえた、そのときだ。



 メロスは、いた。



 った。



 「て。



  そのひところしてはならない。



  メロスがかえってた。

  約束やくそくまもった。



  いまかえってた」



う、

メロスとセリヌンティウスをおう

います。



 おうディオニスは

 人々ひとびとうしろから二人ふたり

 ていた



 そして、二人ふたりちかくに

 かおあかくして

 った。



 「おまえらは、わたしこころった。



  ひとしんじるということは

  妄想もうそう(delusion)ではなかった。



  わたしも、おまえらの仲間なかまれてくれ」




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