2021年2月7日日曜日

JLPT N4: Japanese Short Stories: Ryunosuke Akutagawa: The Spider's Thread



『くものいと』(The Spider's Thread)

芥川あくたがわ龍之介りゅうのすけ Ryunosuke Akutagawa





『くものいと』(The Spider's Thread)を



芥川龍之介あくたがわりゅうのすけみじか小説しょうせつです。



これは、

天国てんごく(heaven)と地獄じごく(hell)のはなしです。



天国てんごくには、

おしゃかさま(Buddha)がいます。



地獄じごくには

カンダタという、とてもわるおとこがいます。



カンダタは、とてもわる泥棒どろぼうでした。



天国てんごくには、

いけがあります。



そして、

そのいけから

地獄じごくえます。



いけした

地獄じごくがあるのです。



ある

おしゃかさまは、

天国てんごく散歩さんぽしていました。



そして、

いけると、

地獄じごくにいる、カンダタえたのです。



 あるのことです。



 おしゃかさま(Buddha)は

 天国てんごく(heaven)のはす(lotus)のいけのまわりを、

 ひとりで、散歩さんぽしていました。



 天国てんごくは、ちょうど、あさなのでしょう。



 おしゃかさまは、

 いけうえはすあいだから、

 いけしたました。



 この天国てんごくの、はすいけしたは、

 ちょうど、地獄じごく(hell)なのです。



 だから、

 いけみずした

 地獄じごくいけや、はり(needle)のやまえるのです。



 すると、

 カンダタというおとこ一人ひとり

 ほかわるひとたちと一緒いっしょに、

 地獄じごくにいるのがえました。



カンダタというおとこは、

とてもわるおとこでした。



たくさんのひところしました。

ころす:to kill)



それでも、

ひとつだけ

いことをしました。



あるとき

くも(spider)をころさなかったのです。



 このカンダタというおとこは、

 ひところしたり

 いえをつけたり、

 いろいろなわるいことをした、泥棒どろぼうです。



 が、それでも

 たったひとつ、ことをしました。



 あるとき

 このおとこ

 ふかはやしなかあるいていると

 まえ

 ちいさな、くも(spider)が、一匹いっぴき、いました。



 そこで、カンダタ

 すぐに、あしげて

 ころそうとしました。



 が、

 そのときカンダタは、おもいました。



 「いや、いや、

  ちいさくても、きているものだ。



  それを、理由りゆうく、ころすのは、

  よくない」



 そして、

 その、くもをころさずに

 たすけてやったのです。

 (たすける:to save)



カンダタは、

一度いちどだけ、いことをしました。



おしゃかさま

そのことを

おもしました。



そして、

カンダタたすけてやろう

おもいます。



おしゃかさま

くものいと

天国てんごくから地獄じごくへと、

ろすのです。



 おしゃかさま

 地獄じごくながら

 このカンダタが、くもをたすけたことを

 おもしました。



 そして

 そんなことをしたのだから、

 出来できるなら、

 このおとこ地獄じごくからたすしてやりたい

 とかんがえました。



 はすうえに、

 天国てんごくの、くもが一匹いっぴき

 うつくしい銀色ぎんいろ(silver)のいとをかけています。



 おしゃかさま

 その、くものいと

 そっと、って、

 しろい、はすあいだから、

 地獄じごくへ、まっすぐに、ろしました。



カンダタ

地獄じごくにいました。



カンダタは、

つかれていました。



まわりのわるひとたちも、

つかれていました。



とお地獄じごくちてくるまでに、

ちからは、なくなってしまい、

もう、こえすことも出来できなかったのです。



だから、

地獄じごくは、

くらしずかでした。



 カンダタ

 地獄じごくいけなかにいました。



 地獄じごくなかは、

 どちらをても、くら



 その、くらなかに、えるものがあるとおもいますと、

 それは、あのはりやまはり

 ひかっているのです。



 しかも

 あたりは、とてもしずかでした。



 地獄じごくちてるような

 わるひとたちは、

 もう、さまざまなばつ(punishment)をけて、

 つかれ、

 こえちからも、くなっているのでした。



 ですから

 とてもわる泥坊どろぼうカンダタも、

 やはり

 いけなか

 なにをするちからもなくなり、

 んだように、かんでいるのでした。

 (かぶ:to float)



そんなときに、

一本いっぽんのくものいとが、

そらからりてたのです。



カンダタよろこびます。



そして、

そのくものいと

のぼりはじめます。



くものいとをのぼって

地獄じごくからて、

天国てんごくこうとします。



 ところが

 あるときことです。



 カンダタあたまげて、

 いけそらていると、

 そのしずかでくらなか

 とおとおうえほうから、

 銀色ぎんいろのくものいとが、

 りてるのです。



 一本いっぽんいと

 ほそひかりながら、

 自分じぶんうえへ、りてるのです。



 カンダタは、これをると、

 とてもよろこびました。



 このいとを、のぼってけば、

 きっと、地獄じごくから、られるかもしれません。



 いや、

 それだけではなく

 天国てんごくはいこと

 出来できるかもしれません。



 そうすれば、

 もう、はりやまをのぼる必要ひつよう

 なくなります。



 こうおもいましたから

 カンダタは、すぐに

 その、くものいとを、しっかりと、

 一生懸命いっしょうけんめい

 うえうえへと、のぼりはじめました。



カンダタ

くものいとをのぼって

天国てんごくこうとします。



しかし、

カンダタが、いるのは

地獄じごくです。



天国てんごくは、

地獄じごくからは、とてもとおいのです。



カンダタは、

つかれてしまいます。



つかれたので、

途中とちゅうやすむことにします。



カンダタ

やすんで

したました。



そして

とてもおどろきます。



 しかし

 天国てんごくは、

 地獄じごくから、とてもとおいので、

 いくらいそいで、のぼっても

 簡単かんたんには、地獄じごくからられません。



 しばらく、のぼっていると

 とうとう、カンダタつかれてました。



 もう、すこしも、うえほうへは

 のぼれなくなってしまいました。



 そこで

 まず、すこやすむつもりで、

 途中とちゅうで、いとをしっかりったまま

 したを、てみました。



 すると、

 いままで自分じぶんがいたいけは、

 もう、とてもとおくにえます。



 それから

 くらなかひかっていた、あのはりやまも、

 とてもとおくにえます。



 このまま、のぼってけば、

 地獄じごくからるのも、

 おもったより、簡単かんたんなことなのかもしれません。



 カンダタ

 くものいとったまま

 地獄じごくちてから、何年なんねんものあいだ

 したことのないこえで、

 「やったぞ。やったぞ」

 とって、わらいました。



 ところが

 そのとき

 カンダタには、あるものが、えました。



 くものいとしたほうから、

 たくさんのわるひとたちが、

 自分じぶんの、のぼったあとを、

 うえうえ

 一生懸命いっしょうけんめいに、のぼってるのです。



 カンダタ

 これをると、

 とても、おどろいて、

 そして、こわくなりました。



したると、

地獄じごくにいたほかわるひとたちが、

みんな

そのいとをのぼってていたのです。



カンダタは、

そんなにたくさんのひとが、のぼってくると

いとれてしまう

おもいます。

れる:to break)



いとれると

自分じぶんも、また、地獄じごくちてしまう

おもいます。



そこで

カンダタいました。



 そこで、カンダタ

 おおきなこえいました。



 「こら、

  この くも のいと

  おれのものだぞ。

 (おれ:I)



  おまえたちの、ものではない。



  おまえたちは、りろ。

  りろ」



カンダタが、そうった、そのとき

いとれました。



カンダタっているところから

いとれてしまったのです。



 そのときです。



 いままで、なんともなかった、くものいとが、

 カンダタっているところから

 ぷちりと、おとてて、

 れました。



 ですから

 カンダタも、

 かぜのように、

 くるくる、まわりながら

 地獄じごくちてしまいました。



天国てんごくの、おしゃかさま

それをていました。



くものいと

たくさんのひとが、のぼろうとしたから

れたのでは、ありません。



自分じぶんだけがたすかろうとした

カンダタの、そのわるこころのせいで

いとれてしまったのです。



おしゃかさま

カンダタちるのを

ていました。



そして

カンダタが、

いけなかうごかなくなり、

いしのようになってしまうのを

ていました。



おしゃかさま

すこおどろいたような

かなしいようなかおをしました。



しかし、

また、

しずかに散歩さんぽはじめるのでした。






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